アイドルは高嶺の花なのか?

その秋元某のところで行われた握手会。メンバーが凶暴なのこぎり男に襲撃される事件の影響で、厳重すぎるほどの警備のもとに握手会が行われたということです。

「会いに行けるアイドル」を謳ってデビューしたから、どんなにトップアイドルになろうとも握手会は続けるという判断でしょうが、わたくしは、それをトップアイドルなんてことは思いませんね。

トップアイドルですよ、もはや高嶺の花ですよ。

考えてもみなさいな。ピンクレディーも、キャンディーズも、山口百恵も、松田聖子も、トップアイドルとなってからは握手会なぞしたことはないはずです。

そのころには握手会などなかった?

いやいや、テレビに出ることもできない、二流のレッテルを背負わされたアイドルは、細々と地方をドサ回りしてレコードにサインを書き、ファン一人一人に手渡ししていたなんてことを聞きますよ。

そこでわたくしは思うのです。

アイドルって、高嶺の花になるまでの道のりではないでしょうか?

1980年代後半、トップアイドルが乱立し、握手会が巷間の話題に上ることもなかった頃、秋元某はおニャン子倶楽部を立ち上げ、アイドルなんて誰でもなれるということを証明して見せました。

それをきっかけにトップアイドルに執着していたアイドルファンは意気消沈。
一方では素人アイドル人気が沸き起こり、アイドルを売る事務所も、トップアイドルの気概や風格を備えたようなアイドルよりも、より素人っぽさを重視したアイドルを多く手掛けるようになります。
それでも、思うようにいかず、世間の印象は薄いものばかり。

ここに'80年代まで隆盛を誇ったアイドルは絶滅危惧種となり、「アイドル氷河期」と呼ばれる時代が到来してしまいます。

すなわち、いきなりトップアイドルとして喧伝していた時代→トップダウン時代から、口コミで徐々に人気を勝ち取る時代→ボトムアップ時代に入ったわけです。

モーニング娘。だろうが、アケビだろうが、Perfumeだろうが、ももいろクローバーZだろうが、みんな握手会をやって伸し上がってきました。


たった一人の応援が、十人分の力になる。

そう信じてファンは、恭しくアイドルに手を差し伸べたわけです。


そうです。握手会とは、ただファンとアイドルが交流する場でなく、魂を込めて応援する側と、魂を込めて歌う側のお互いの信義の確認の場です。なので、握手することが目的ではありません。

ただ握手するためだけに、荷物チェックと金属探知機*1は良かれとしても、お立ち台のようなものに乗せられ、あちこちを触られ、野球拳で瀕死の状態みたいな恰好までさせられてそれでも握手したいなんて思いませんもの。これじゃあ、まるで、刑務所に入所する前のカンカン踊りですがな。

逆に言えば、そこまで信用されてないなら、なにゆえ握手会をやめないのか。

モーニング娘。も2000年代、握手会をやってはいませんでしたが、それは、ただ単にする必要がなかったからです。確実に純粋なファンだけが握手会に来る確率は薄れ、それこそあの事件のようなことが起こりかねない。
トップアイドルになっても、握手会に執着すればあのようなことになってしまう。秋元某にとってはこれは身から出た錆ですよ。また、それがために、まだまだ握手会を行って頑張らなければならない我々にまでも、やませがごとき悪風の被害に遭わなければならないのが本当に癪に障ります。

この握手会依存からどう脱却するのか。モーニング娘。はまた再び高嶺の花となることができるのでしょうか?

今後は、そのあたりから少しずつ考え直してきたいと思います。

*1:海外の劇場の入り口には、当たり前のように金属探知機があって、警備員も複数名は立っている。