アップアップガールズ(仮)

同じくエッグ出身者たちからなるユニットですが、こちらはもっと厳しい……。

先ほども申し上げましたが、エッグとして頑張った人が、つんく♂氏によってプロデュースされる権利を得られます。ですが、むろん、ずっと二軍として辛酸をなめ続けなければならない人も少なからずいるわけです。
この七人はまさしくその憂き目にあい続けた人たちでした。「あやや」こと松浦亜弥のようにソロ歌手になった真野恵里菜は後輩にあたりますし、モーニング娘。になった人もいます。何度涙を名乗んだことでしょう。

彼女らに覆いかぶさった不幸はこれだけではありません。これも先ほど申し上げました。エッグは「いったん解体、再編成され」たと……。
そうです。この解体の時に、彼女らはつんく♂から見限られ、ハロプロを放逐。すなわち、芸能界から足を洗わなければならなくなったのです!
それぞれ地元に戻り、普通の学生生活をしていた2011年のある日、それぞれの家庭にもともと在籍していた事務所から一本の電話がかかりこれが、再デビューのきっかけとなりました。
プロデュースはこの電話をかけた現在のマネージャー氏。(もともとハロプロのマネージャーでした。今現在は一匹狼) 
結成当初は、持ち歌もなく、ただそれまで在籍していたハロプロの曲を歌うカバーユニットとして活動。追い出された古巣の曲を歌うことに、メンバーは違和感を感じていたようです。
ちなみに、アップアップガールズ(仮)というユニット名も、もともとはアップフロントガールズ(仮)で、所属事務所のアップフロントに所属する女の子たちという実に安直な名前でした。これをあるイベント会社がブッキングしたとき、フライヤーに「アップアップガールズ(仮)」と誤表記してしまったものをマネージャー氏が訂正せず、それがそのまま正式名称となってしまった次第……。
こんないい加減て始まったユニットでしたが、『Going my ↑』でデビューが決まってからはメンバーのモチベーションが上昇。もともとハロプロファンで、エッグとしての活動までつぶさに観察していたという、タワーレコード社長・嶺脇育夫氏が立ち上げたアイドルレーベル「T-Palette Records」に参画してからは、ほぼ毎月のペースでCDを発売。精力的なプロモーション活動と、毎回「生きるか死ぬかだ!」という全力の域を超えた必死のライブパフォーマンスは、斜に構えた一見さんを熱烈なファンにしてしまう強烈な魅力を放っています。


『SAMURAI GIRLS』



SAMURAI GIRLS/ワイドルセブン

SAMURAI GIRLS/ワイドルセブン


リーダーの仙石みなみは、愛読書を『武士道』(新渡戸稲造著)とするほどの歴史好きで、自己紹介の時にも「好きな言葉は侍魂(さむらいだましい)!」というほど。



アップアップガールズ(仮)の楽曲のほとんどは、彼女たちの自伝だったり、ポリシーだったりを曲にしたものが多く、この曲の中でも自分たち七人を黒澤明七人の侍』になぞらえて、巨大な敵に立ち向かっていくありさまを歌い上げています。
振付は、自身もアイドルオタクとして名高い、竹中夏海先生。「無理難題を吹っかけても自分の期待を超えるものにしてくる」とメンバーに対する評価は高いです。今回の振付でも、マイクを刀に見立てた振付が随所に登場します。
それにしても、これまでミュージックビデオも取らせてもらえなかったひよっこちゃんたちも、立派に成長したものだと勝手に感情移入してしまいます。(笑)