光井さんのお誕生日

本当にこの方は伸びしろの大きな方だと思います。日進月歩とはこのこと。
コンサートでソロを任されたんですが、もともと低音のきく声質なので、ブレがないし安定している。
まだまだ声の通りが悪いので、センターには向かないかもしれないけど、脇役としては絶対に必要なタイプ。

十年後の自分へ手紙を書くという番組の企画で、少女らしい手紙を書いておられましたが、わたくしには何となくこの方の十年後、25〜6歳の光井さんの姿が想像できるんです。いや、その時もタレントやっているとは断言できませんが、姿形はなんとなくわかる気がします。

アイドルというのは暁(あかとき)の美しさ。室町時代に活躍した能楽の大成者・世阿弥のいう「時分の花」です。今の輝きは限りがあって儚くも美しく、かけがえのないものだけど、抜けるような青空もまたひとしお素晴らしいし、日暮もまたせつないけど情趣深い味わいがあります。

「されば、時分の花を誠の花と知る心が、真実の花になお遠ざかる心なり。ただ人ごとに、この時分の花に迷いて、やがて花の失するをも知らず。初心と申すはこの比の事なり」

世阿弥風姿花伝』より

自らも室町時代のアイドルだった世阿弥はこう喝破しています。足利義満の寵愛を一身に受けた世阿弥も、足利義教の時代になると佐渡ヶ島に配流となってしまいます。よほど実感があったのでしょう。わたくしはアイドルと伝統芸能をつなぐ何かをここに見出しました。

いつまでも「アイドル時代はこんなんじゃなかったのよ。アイドル時代は輝いていたんだから!」を口癖にするタレントさんって少なくないですが、モーニング娘。の卒業者の方々って、そう言えば、そんなことをいう人は少ないような気がします。いや、それよりもより先取的に、モーニング娘。時代の経験を生かして今のご自分を築いていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。なにしろ御大・加護さんも、東京での復帰イベントのときに同様のことをおっしゃっていました。


誕生日というのは、これまでの成長を祝う日でなく、これからの成長を願う日です。*1


光井さんにとってのこれからの一年、いや、十年後の未来までも、いろんな魅力がみられることを祈念してなりません。

*1:欧米では、誕生日ケーキのろうそくの灯を消す前に、神様にこれから先の一年の無事を願ってから吹き消すそうです