秋霖、いまだ止まず……。

何度も書きますが、つくづく自分はモーニング娘。のファンで、ハロプロのファンではないのだなと痛感しながら、Perfumeのファンクラブに入会申込用紙を請求した青島です。(笑)



先日のラジオで、自分の中のモーニング娘。に対する思想というか、考え方を大体ぶちまけたわけですが、わたくしがその場で語った論の骨子は以下のごとく。


一。モーニング娘。ハロプロから引き剥がすべし。

※現在のハロプロは刹那的なアイドルグループの集団でしかなく、伝統芸能としてやろうと思えば百年は機能できるモーニング娘。とは、すでに相容れぬ存在になっている。


二。プロデューサー・つんく♂は、「二代目 つんく♂」をこそ探すべき。

※どんな奇抜な楽曲を作れたとしても、結局は自分の作り上げた類型を脱せず、あまつさえ夜郎自大になっているプロデューサーに、いい加減ファンも飽き飽きしている。いまこそ『脱LOVEマシーン』をなし、「新生モーニング娘。」として、コンセプト・アイドル化をなすべきである。


このような、なんだか現実味がないことを二時間近くも喋っていたわけですが、いまこの渺渺とした夢から覚めてみれば、なんだか虚しさでいっぱいです。
モーニング娘。は一時期の人気から没落して、ハロプロのコンサートで一番声援が少ないユニットになってしまいました。もはやモーニング娘。ハロプロの中に埋没するしか道はなく、そうなると、世間から全く振り向かれもせずにほかのハロプロのアイドルユニットなりなんなりと共に雲散霧消してゆく末路をたどりそうな気がしてなりません。

そもそも、モーニング娘。が「継承されてゆくアイドル」であるという機能は、なかなか世間には理解しづらいものだったのでしょう。現に、モーニング娘。ファンの中でも「モーニング娘。は四期までのユニット」と断じる人が少なくありません。しかし、今春のコンサート『シングル大全集』において、六期メンバー・道重さゆみは、初期メンバー・安倍なつみがメインボーカルをとった『ふるさと』を、歌い方から感情の込め方の機微まで見事にトレースし、自分のものとして吸収することに成功しています。つまり、初期メンバーから六期メンバーへと「精神のリレー」がなされたのです。福岡でのステージで、わたくしは紛れもなくモーニング娘。伝統芸能であるという確信を得た瞬間でもありました。
昨今は「40代子持ちアイドル」やら「議員アイドル」やら、さまざまなアイドル形態が氾濫しています。ならば「伝統芸能的アイドル」というアイドルの形態があってもおかしくないでしょう。

それから、多くのハロプロファンが、「今が一番いい」と断じます。モーニング娘。が没落し、自分たちの応援しているユニットなり人物がモーニング娘。よりも売れていたりする……。はてさて、彼らのいう「今」はいつまで続くのでしょうか? モーニング娘。でない彼女らは、ことさら巷間の憧憬が眼差しが集まるわけでもないまま、「ハロプロファン」という人種しか知らないままに、霞か朧となっていきそうな気がしてなりません。その点、モーニング娘。は、いかなハロプロの中で一番没落したユニットになったといっても、世間に「モーニング娘。」という名前は確固として記憶されています。ハロプロモーニング娘。的ユニット群」よりは遥かに世間にアピールできるでしょう。
なにせ、モーニング娘。という軸を中心としてハロプロは始まったわけですから、今モーニング娘。に、それこそ泰山を素足で登るような思い(全国都道府県を巡るキャンペーンとか)をさせて、全国の皆さんの理解を得るべきだと思います。そうすれば、数万枚を売ってやっとのモーニング娘。も、徐々に徐々にまた国民的と呼ばれるくらい大きなユニットに舞い戻るのも夢ではない、というのは言いすぎでしょうか。いや、それとは真逆に、あるジャンルに徹して、そのジャンルに精通する好事家をうならせるほどのユニットに仕立て上げるほうがいいかもしれません。(好例はPerfume)ともあれ、いまのハロプロファンは、じっと屈んで蟻の背中を追い続けているようなものです。その蟻は蟻でしかなく、どんなに曲芸がうまくできたとしても、象の曲芸ほどには注目されないわけです。まさしく、その象ほどに成長できる可能性があるのは、ハロプロではモーニング娘。だけです。ハロプロを活性化させるには、モーニング娘。の活性化が火急であるとわたくしは断言いたします。


現在の熊本は台風が接近中。その台風に連なって、手飼いの虎の引き綱*1のように長々と連なる秋雨前線の真下、長き思いにふける長き夜であります……。


秋雨にゆるく縛られゐたりけり  游三毒

  

*1:※手飼いの虎の引き綱……この虎は「猫」のこと。昔の猫は、現代の犬のように首に引き綱をつけて飼った。『源氏物語』に女三宮(おんなさんのみや)の飼う猫が御簾の外に飛び出して御簾が跳ね上がり、そこにたまたま居合わせた柏木が三宮を見染めたエピソードがある。能『遊行柳(ゆぎょうやなぎ)』のクセにも引かれた。