王の帰還


新版 指輪物語〈8〉王の帰還 上 (評論社文庫)

新版 指輪物語〈8〉王の帰還 上 (評論社文庫)




かつての平和は外敵の闖入と内乱によって崩され、王族の血統は中つ国を出て東に走り去ることを余儀なくされた。

冥王・サウロン一党は中つ国を支配下に置こうと家来の魔物を遣わして攻め立てたが、ふたたび辺境の国々の一門を引き連れたあらわれた王族の手によって一掃される。



まったく、『指輪物語』くらい長い間ほったらかしにしていたこのブログも、再び、いや、三度タイトルを変えて帰ってまいりました!!


そう、この鬨の角笛とともに! そして、高らかに歌え!!




  これぞ「王の帰還」である!!


日本の民放音楽番組の中では一番格式のあるテレビ朝日ミュージックステーション』に、なんと六年ぶりの出演!


寝耳の水とはこのことで。情報を知ったときは、思わず「馬引けいっっっ!!!」と叫んでしまいました。(笑)

「六年ぶり」とは言いますが、実際の感覚がつかめません。
このブログの記事をさかのぼってみますと、ちょうど六年前から始めおりまして、そのころは「五稜郭」と名乗っておりました。

ちょうど冥王サウロンが深い眠りから覚めたころ。われわれが中つ国を捨てて東へ去らねばならぬ頃だったのです。なんと、感慨深い。

最後の一兵になろうとも、鬨を挙げ、切っ先を前へ向けて突進するのみと息巻いてましたね。
まさしく五稜郭の前で斃れた土方歳三のごとく、モーニング娘。のあり方をどこに響くともわからず叫びまくっていたという……。

そして、見事に横死してしまいます。(^^;)

今思うと、この間に広くアイドル業界全体を睥睨することができたと思っております。

アイドル戦国時代も中央集権型から地方分権型へシフトチェンジ。いくつかの大名が覇を唱え、競い合うのではなく、南北朝時代のように、小さな氏族でも、付くべき家や派閥を考えながらあえてその傘下で力試しをする。そういう傾向が表れるようになりました。
アイドルヲタクのなかでも、自分の推しているアイドルグループ(なりソロアイドルなり)がアイドル界の頂点に君臨することを望まず、ミニマムな規模の中でもそこそこ話題性があればいいという割り切りをもって接しているひとが増えました。
そういう意味ではひと時よりも、今は戦国時代っぽくはなくなったというのが現在のアイドル界の実情です。

それまでは、「アイドルになる=アイドル界の頂点を目指す」。それが「アイドル戦国時代」でした。

現在はそうではない。CDが売れにくくなる現実にあって、音楽業界全体が、ミニマムな売り上げで時々ライブをこなして糊口をしのぐ、または、大きなライブを引っさげて地方を何周も巡業して旅芸人的になる、このどちらかにかかっています。

アーティストならば、また地方アイドルならば、そのファンのために自分の世界を提供する、それだけでいいのですが、大手事務所の抱えるアイドルグループならばそうもいかない。

とくにモーニング娘。AKB48さんは、これからも続いていく筋道を立てなければならない。

双方ともに次から次に人材を増やし、新しい息吹を吹き込むという形式をとっている以上、より深く社会にコミットできたほうが存続のフックができます。
モーニング娘。でいうならば、六期メンバーにして現リーダー・道重さゆみさんは、テレビでの露出も多く、卒業してもある程度の活動は保証できています。「あー、自分かわいいとかいうやつか」という認識で世間が迎え入れてくれるでしょう。

では、九期メンバーは? はたまた、十期メンバーは?

われわれ、モーニング娘。ファンは知っていても、なかなか世間の人は知ってはいません。(ここを勘違いする人が多い!)


あちらさんはどうもメンツがなかなか変わらないので触れませんが、モーニング娘。は世代交代が激しいグループです。より深く世間とコミットし、日本のアイドル=モーニング娘。であり続けなければ、モーニング娘。はどんなに頑張っても徒手空拳を振り回しているような虚しい状態になってしまいます。


そんな中で、わたくしが昨今驚くのは、一部のモーヲタに別に売り上げを伸ばさなくてもコンサートとイベントをそつなくこなせばいいではないかという意見が多いこと。これには唖然とさせられます。
たしかに、ふたたび売れた先には、凋落の道が待っているかもしれません。そこを恐れていて何が商売でしょうか。「飽きない」ことこそが「商い」ではありませんか。その点、あちらさんは商売がお上手ですね。ほとほと感心いたしますわ。でも、昨今はその本業である音楽の売り上げのほうがあまり芳しくないとのこと。ご苦労様です。(笑)

いやいや、こんな世迷言を連ねている場合じゃない。(笑)
先ほども申しました通り、いつも通りのコンサートをただ続けているだけでは存続していることが無意味なのです。常に世間とコミットし、世の中の少年少女のあこがれとなって活躍することこそが、モーニング娘。の未来を作るというのをわからない人がいるんですね。

伝統を守ることと、未来を作ること、これは同義です。

そういえば、12期メンバー『未来少女』オーディションは結局立ち消えとなってしまったわけですが、そこにはやはり、モーニング娘。自体が未来を作ってこなかったからではないかとさえ感じてしまいます。



思えば『LOVEマシーン』で劇的に売れ、それからしばらく黄金期があり、人気に陰りが出た時、モーニング娘。はなにをやっていたか。

周囲とコミットすることを避け、ひたすら自分たちのパフォーマンスの鍛錬にいそしんだわけですよ。そこには異論はありません。現に今のメンバーの心の支えになっているから。でも、世間と関わらないから、世間からは過去の遺産扱いされる。おまけにOGメンバーに醜聞が巻き起こり、モーニング娘。のイメージもトーンダウン……。

いわゆる「プラチナ期」ですが、たしかに、メンバーの身はなったかもしれないけど、われわれファンからしてみれば戦争に負けてシベリアに抑留されているような気分ですよ。その間に「もはや戦後ではない」とか言われる高度経済成長で、明らかに文化文明に革新が生じてそれまでの戦争の悲惨さが何だったのかを忘れてしまった日本から遠く離れた極寒の地で、一切れのパンを分け合いながら強制労働をさせられている気分でしたよ。

つんく♂氏も、十五年という節目に至り、自身のバンド・シャ乱Qの二十五周年ということもあり、思うところがあったのでしょう。

「高橋・新垣が卒業するという段になって、自分の中のビジョンとしては、過半数以上が新メンバーでなくてはならないと思ったんですよ」

と談話にありました。


伝統とは、伝ったものを単に守ることではありません。それならば「伝統」と書かずに「伝守」でいいじゃないですか。

「伝ってきたものを統べる」すなわち、かんたんにまとめ、再編集して次の世代にバトンタッチするということなんです。

伝わったものそのままでなく、その時代時代に合ったものにカスタマイズしていく作業。それこそが伝統を守るという作業なのです。


つんく♂氏がここに至ってEDM路線を通じて、まさしく、今までやってきたこととをまとめ、これからやるべきことを世に問うているのではないでしょうか。



愛の種』で始まったモーニング娘。は、平成のアイドル不毛の時代を『愛の機械(LOVEマシーン)』で開墾し、十五年の月日がたって、ここにようやく『愛の軍団』として結実したわけです。






世間の人々が、モーニング娘。を語るとき、いつも笑顔でいられるような世の中になりますように。

ここからが、巻き返しだ!!